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Key Questions
Q1:認知症の現状は?
Q2:認知症の回復段階における作業療法の目的と手法とは?
Q3:精神科作業療法での認知症患者に対する作業療法計画とポイントとは?
はじめに
筆者はこれまで,精神科一般病院と認知症治療病棟での経験を経て,現在の大学にて教員として勤務している.本稿のテーマをいただいたとき,まず頭に浮かんだのが,精神科病院で社会的入院により長期入院を余儀なくされた高齢の認知症患者についてであった.
精神科病院で精神科作業療法を算定するにあたり,その要件は患者1人当たり2時間,1単位をおおむね25人とされている.つまり精神科作業療法に従事するOTは,1回のプログラムで複数人の患者を対象とする.このため,当該病院に入院中で,かつ精神科作業療法を処方された認知症患者は,基本的に,統合失調症等,他の精神疾患や年齢層も異なる対象者と同様の環境の下で治療を受ける.後述するが,認知症の作業療法では,継続期後期から集結期は症状が重度化し,そのうえ,廃用症候群等の合併症を引き起こしやすい.活動範囲が大きく制限され,参加できる活動や取り組める作業に限界が生じ,さらには受動的参加となる時期であり,個別での対応が主となる.そんな中でOTは,精神科作業療法の枠組みで,個々の症状や異なった生活歴をもつ認知症患者に対して,どのような治療目的で,どういった作業を用いればよいのかを考慮し,さらに,できるかぎりエビデンスに基づいたプログラムを提供することを意識し,日々試行錯誤しながら治療計画を立てている.筆者もその中の一人である.
本稿では,筆者のこれまでの経験を踏まえ,精神科一般病院における認知症患者,特に継続期後期から集結期を対象とした精神科作業療法の取り組みを紹介していきたい.
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