調査・研究
高齢者施設における認知症患者のための活動療法
Andrea Streit Schreiner
1
,
守本 とも子
2
Andrea Streit Schreiner
1
1バーモント大学看護学部
2奈良県立医科大学医学部看護学科
pp.233-237
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100044
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はじめに
レクリエーションの意義
過去10年以上にわたり,高齢者施設における認知症患者のためのさまざまなレクリエーション活動が開発されてきた.筆者らは,ペット療法,音楽療法,身体的(スポーツ)レクリエーション,コラージュ療法,化粧療法,アロマセラピー,回想療法などの活動が,入所者のQOLに及ぼす影響を観察してきた13).QOLという抽象的なものの改善を計測するのは困難だが,通常,その活動により入所者間の社会的交流が増加した,微笑みや笑顔から判断して入所者の喜びが増したというような成果に注意を向ける.これらは肯定的成果と見なされる.老年学の専門家の大多数が,「どんなことでもよいから入所者と活動をともにするのは,まったく何もしないよりずっとよい」という点で同意している.基本的に,入所者が参加できるのならば,どんな活動でもやってみる価値はある.
レクリエーションへの参加の意義
レクリエーションが入所者の肯定的感情にどのような影響を及ぼすかについての最近の観察調査で,認知症入所者は,施設での通常の時間に比べてレクリエーションの時間に7倍以上幸福感を表現したと報告されている.また,認知症入所者の通常時間の60%以上は社会的相互作用のないまま過ごされていることも判明した.実際,入所者の43.75%がレクリエーションの時間にしか幸福感を表現しなかった12).したがって,活動に参加できさえすれば,その時間は通常時間よりも改善された状態であることが明らかである.
本稿では,施設で活動プログラムを組むうえで役に立ち,また,個性の違いを考慮した適切なレクリエーション活動を選択するために役立つ簡単な指針を紹介する.
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