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特集 老年期(高齢者)と精神疾患
老年期(高齢者)と気分障害—老年期うつ病の作業療法
Occupational therapy for geriatric depression
髙橋 章郎
1
Akio Takahashi
1
1首都医校
pp.321-326
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202054
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Key Questions
Q1:気分障害患者増加の推移はどのようになっているか?
Q2:老年期うつ病の特徴的な3つの分類とは?
Q3:老年期の気分障害に対する作業療法で大切なこととは?
はじめに
2017年(平成29年)の「患者調査」(厚生労働省)1)によると,気分障害のある人は全国に127万6,000人とされている.「うつ病100万人時代」と多くのメディアで報じられたのが約10年前.その後も気分障害患者は増加し続け,過去最高を記録している状況にある(図 1).年代別では,65歳以上の高齢者が最多(図 2)となっている.働き盛りのうつ病に注目が集まりやすいが,高齢者の約3割に抑うつ症状が存在するとされ,老年期(高齢者)の気分障害も見落としてはならない分野である.高齢者人口のピークは2040年ごろとされており,今後20年は増加の一途をたどる.これにともない気分障害のある高齢者も確実に増加していくと考えられる.加えて,人口減少と高齢化率の上昇はその後も続き,医療・保健・福祉,地域におけるケアラー不足が懸念される.今後はよりスピード感をもったサービスのあり方や,OTの働き方の変化が求められる.
本稿では,まず老年期における気分障害の病態や社会生活の特徴について触れる.その後に気分障害のある老年期(高齢者)の方に対する作業療法について,そして,今後の医療や福祉,地域のあり方について,筆者なりの考えを報告してみたいと思う.
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