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増大特集 加齢とリハビリテーション
第3部 加齢によって生じた課題への対応
6.軽度認知障害・認知症・老年期うつ病への対応
Medical management and support for older adults with mild cognitive impairment, dementia and late-life depression
田中 尚文
1
,
石川 博康
2
Naofumi Tanaka
1
,
Hiroyasu Ishikawa
2
1帝京大学ちば総合医療センターリハビリテーション科
2秋田大学医学部付属病院精神科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Teikyo University Chiba Medical Center
2Department of Psychiatry, Akita University Hospital
キーワード:
精神療法
,
軽度認知障害
,
認知指向型治療
,
認知症
,
老年期うつ病
Keyword:
精神療法
,
軽度認知障害
,
認知指向型治療
,
認知症
,
老年期うつ病
pp.707-715
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202537
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はじめに
精神疾患は脳の器質的病変だけでなく,患者の性格などの素因,身体的要因,心理的要因,家族や地域などの社会的要因などが複雑に絡み合って発症し得る.老年期には,加齢に伴って認知機能が低下し,軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)や認知症を生じるだけでなく,心理状態や社会環境の変化により精神機能も大きく影響を受け,うつ病,遅発性パラフレニー,せん妄などの精神疾患も認められることが多い.わが国のリハビリテーション診療においても,人口の高齢化に伴い,認知症をはじめとした精神疾患を合併している高齢患者を対象とすることが多くなり,その対応に苦慮することも少なくない.
高齢者においてうつ病と認知症を認める頻度はともに高く,うつ病は認知症の危険因子である一方,認知症患者には行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)の1つとしてうつ症状を認める例も多い.ただし,両者の鑑別にあたっては,認知症とうつ病が互いに独立して発症する例もあることを常に念頭に置いておくべきである.老年期の精神疾患への対応については,対応生物心理社会モデル(bio-psycho-social model)に基づいて包括的に検討することが有用である.
本稿では,老年期にみられる精神疾患のうち,軽度認知障害,認知症,老年期うつ病を取り上げ,主な治療法や対応について解説する.なお,自動車運転への対応については本特集の他稿に譲る.
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