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Key Questions
Q1:入所施設の生活の何が問題なのか?
Q2:優生思想とは何か?
Q3:作業療法士に期待することとは何か?
私と「施設の障害者外出サービスネットワーク」
私は1日24時間365日ヘルパー制度を使いながら,地域で一人暮らしを始めて23年になりました.私の障害は重度だといわれますが,日中は週4日,あいえる協会という社会福祉法人の障害者スタッフとして働いて,お給料と障害基礎年金で生活しています.休みの日には買い物に行ったり,作り置きのための料理をしたり,たまには友だちとイタリアンレストラン等で外食を楽しんだり,最近では,和太鼓のDRUM TAOのコンサートにはまったりしている普通のおばさんとして,地域であたり前に暮らしています.
このような私が,入所施設のことをこのタイトルのように「箱」と表現したのは,もう30年前のことです.1989年(平成元年)9月に私は大阪の入所施設を対象に「施設の障害者外出サービスネットワーク」の活動を始めました.活動当初のメンバーは,知り合いの施設職員等,5,6人だったと思います.とにかく入所施設という「箱」の中の障害者の生活を地域に伝え,その問題を一人でも多くの地域社会の人に知ってもらいたい一心でした.ですから,事務所も借り物で,ビラ1枚,ポスター1枚つくる活動費もなく,私を含むメンバーで2,000円ずつ出し合った,懐かしくて忘れられない思い出があります.本当に何にもないところからのスタートでした.最初は私たちのサービスを利用する施設障害者の人数も8人でしたし,その外出を応援してくれるボランティアの人数も22名からのスタートでした.でも,あっという間に,一番多いときで利用者が80名になり,ボランティアも100人を超えました.そして,今では社会福祉法人になり,ヘルパー派遣事業所や障害者相談支援センター,5カ所のグループホーム,そして日中に障害者が通ってくる活動の場として生活介護事業所2カ所等を運営する大きな団体になりました.私はこの経験から,「本当にやりたいことや人がいるのなら,制度やお金は,後からついてくるものだ!」という私の人生にとって大切なことを学びました.
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