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Key Questions
Q1:制度的経緯を踏まえた老健の役割と理念とは?
Q2:老健に求められる機能とは?
Q3:老健の作業療法士に求められる視点とは?
はじめに
日本作業療法士協会による「第三次作業療法5カ年戦略(2018-2022)」1)の重点的スローガンとして,「地域包括ケアシステムへの寄与〜作業療法5・5計画〜」が掲げられている.これは,医療専門職であるOTが,医療機関以外の介護,保健,福祉,教育の場においても作業療法を提供するかたちを目指すことこそが,「地域包括ケアシステムへの寄与」につながっていくとの認識に立っている.この重点的スローガンを推進していくための重点事項として協会は「共生社会の実現に向けた,地域を基盤とする包括的ケアにおける作業療法の活用促進」と「地域共生社会に寄与する作業療法士を要請する教育の整備と強化」の2つを掲げている.この重点的スローガンならびに重点的事項からも,OTとして地域で活躍することが期待されていると理解できる.2018年度(平成30年度)日本作業療法士協会会員統計資料2)によると,領域別会員数の割合では,最も多いのが医療法関連施設で59.0%,ついで介護保険法関連施設で9.8%であり,このうち介護老人保健施設(以下,老健)が7.8%と最も多くなっている.このことから,医療機関以外の地域で最も多くのOTが勤務しているのが老健であるといえる.地域でOTが活躍することが求められている今,老健に勤務するわれわれがイニチアチブをとって活動してくことが求められているのではないだろうか.
筆者が老健に勤務して20年近くになるが,この20年でも老健に求められる役割は変化しており,そしてこれからも変化し続けていくのではないかと考える.本稿では,総論的に,老健の制度的な経緯から老健の役割と理念,そして老健の今後の展望を踏まえながら,老健のOTに求められる視点について述べる.
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