特集 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN) ~しびれに悩む患者に,なにができるか~
Ⅳ.事例紹介
就労している乳がん患者への支援
京田 亜由美
1
,
金城 妙子
2
Ayumi KYOTA
1
,
Taeko KINJO
2
1群馬大学大学院保健学研究科/がん看護専門看護師
2群馬大学医学部附属病院外来化学療法センター/がんゲノム外来看護師
pp.562-564
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_562
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事例紹介
プロフィール
Aさん.50代,女性,乳がん.夫と大学生の息子,高校生の娘との4人暮らし.
治療経過と現在の状況
初診時すでに乳がんのステージⅣ,ホルモン感受性,HER2タイプ陰性であった.外来で,ホルモン療法とフルオロウラシル(5-FU)+エピルビシン+シクロホスファミド(FEC)療法が開始されたが,肝転移の再発を認め,ベバシズマブ+weeklyパクリタキセルを1年間施行している.Aさんはスーパーで正社員として働いているが「周りに心配をかけたくない」と話し,上司以外には職場でがんや治療について伝えていなかった.シフト制のため,治療日は休みをもらっていた.1ヵ月前から化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy:CIPN)による手のしびれで上肢に力が入りにくくなり,下肢のしびれによりつまずくことも多くなってきた.「食品を落としそうになってしまった.子どもの学費もあるし仕事は辞めたくないけど,辞めないといけないのかな」と話した.
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