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Key Questions
Q1:生活行為向上マネジメントとは?
Q2:人の生活とは?
Q3:生活行為障害の考え方とは?
はじめに
高齢者は疾病や老化による身体機能の障害や認知機能の低下から,日常生活での遂行上の困難に出合うことで成功感や自信が低下し,「してみたいけれども……」,「昔はしていたけれども……」,「みんなと同じようにできるわけがない……」と,さまざまな作業をあきらめてしまっていることが多い.そこで,一般社団法人日本作業療法士協会(以下,OT協会)はこれまでの作業療法実践の蓄積から,高齢者の「不活発さ」を予防し,活動性を高めるための効果的なプログラムを作成する必要性と,アクティビティプログラムの提案を国に行った.しかし,作業療法が一般の人たちに広く知られていない,OTが医療の領域以外でどのような仕事ができるのか,まずはその職能を広く周知させることも大切であると指摘を受けた.そしてまずは他職種または住民に対して,作業療法の姿についてわかりやすく説明ができる作業療法の標準的かたちである「作業療法の30cmのものさし」をつくること,そのうえでアクティビティに従事することで高齢者が元気になるという実績を示すこと,OTがリーダーとなって介護サービス従事者や地域包括支援センター職員への研修や住民に対して啓発活動を行う等を段階的に取り組み,作業療法の姿を示すことが必要といわれた.まずは作業療法のかたちを明らかにするため,2008年度(平成20年度)老人保健健康増進等事業に着手することとなった1).
平成20年度は作業療法の標準的かたち「作業療法の30cmのものさし」を示すために,作業療法のプロセスを分析し,生活行為向上マネジメントツール案を開発した.また,高齢者の活動性を測るための成果指標として,既存の妥当性のある各種評価指標を選定し,軽度要介護者に対する生活行為向上マネジメントの活用による支援効果を検討した.2009年度(平成21年度)は,生活行為向上マネジメントによる介入効果を検証することと,医療から介護への連携における活用の可能性を検討した2).2010年度(平成22年度)は,急性期をはじめとする医療の現場や入所施設,介護職とOTの連携ツールとしての活用の可能性を検討し,生活行為向上マネジメントを完成させた3).
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