連載 感性の輝き・第39回
ケアマネジャーが感じた在宅生活の継続・そして「笑顔」
木村 恭則
1
1撫でし子株式会社 定期巡回随時対応訪問介護看護なでしこ
pp.614
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200453
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たくさんの方と接してきて私が得た経験からお話いたします。高齢者福祉では,在宅支援と施設サービスに大きく分けられます。 皆,住み慣れた地域や自宅での生活を強く望まれています。私は,初回訪問や担当者会議で手品を1つ行います。100円ショップで売っている子ども向けの手品ですが,うまくいくと「驚きと笑顔」,失敗しても「笑顔」が生まれます。私が担当させていただいたSさん(男性)は,脳梗塞で倒れるまでは,社交的で,地域のために率先して活躍され,柔道やゴルフを趣味とされていました。左半身麻痺により入院中は,良くなっても車いすでの生活を主治医から伝えられ,病棟でのリハ,退院にむけて,リハチームにて退院前の家屋調査にて住環境を整備しました。また,Sさんは家族や友人と生活を継続するため意欲的に訪問リハを希望され,週3回からスタートしました。はじめは焦る気持ちが先立ち,必要以上に筋力に負担をかけてしまう傾向がありました。奥さんは病弱でしたが,常に「笑顔」とユーモアがある方で,献身的な介護により,トイレや室内の移動も杖で可能になりました。しばらくするとデイケアも利用することになり,以前のように,ゴルフや地域のために活躍したいと話されていました。
一生懸命,家族のために人生を歩まれてきて,疾病により機能低下や麻痺などで,できていたことができなくなり,不安と焦りを常に感じていることが伝わりましたが,リハにてご家族との散歩も可能になりました。先日も奥様と2人で散歩をしているところに出会い,Sさんの表情には笑顔と自身が満ちていました。
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