特集 認知症の人が地域で継続して生活するためのエビデンスを探る
扉
田平 隆行
1
,
澤 俊二
2
,
竹内 さをり
3
1鹿児島大学大学院
2金城大学
3甲南女子大学
pp.1127
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201875
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特集にあたって
2019年6月,認知症施策推進大綱が認知症施策推進関係閣僚会議により取りまとめられ,認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策が推進されることとなった.認知症のリハについては新オレンジプラン同様「実際に生活する場面を念頭に置きつつ,各人が有する認知機能等の能力を見きわめ,最大限に活かしながら日常の生活を継続できるようすることが重要である」とされ,生活の継続に重点が置かれている.そして,VISIT,CHASE,ケアレジストリ研究等,データベースを用いた科学的介護が推進され,なお一層エビデンスが求められてきている.OTの活躍すべき領域は,予防(発症・悪化遅延),医療,施設,通所,訪問等多岐にわたるが,常に「有する能力を最大限に活かした在宅生活の継続」を念頭に置いた評価・介入が重要であり,その介入のエビデンスを蓄積していく必要がある.
本特集では,認知症の方が地域で継続して生活することを支えるOTとして,どのような実践が有効であるのか,その背景要因も含め先行知見や実践例を基に執筆していただいた.具体的には,予防領域で注目されるフレイル対策としての心理社会的介入,介護認定調査データからみたADL・BPSDの実態と介入,開始から6年経過した認知症初期集中支援の実際と効果,介護現場で難渋する睡眠や生活リズムへの評価・介入,そして在宅でのADL介入のポイントの紹介,である.さらにOTが当事者家族となった折にみえてきたことも紹介し,認知症の方がより快適に地域生活を営むには何が必要なのか,今後どのようなデータを蓄積すべきなのか,を考えるきっかけとしたい.
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