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Key Questions
Q1:医療・介護における情報共有のあり方とは?
Q2:千葉県地域生活連携シートとは?
Q3:ケアプランにリハが入りづらい理由とは?
はじめに
リハビリテーションは急性期・回復期のみで完結する医療ではなく,在宅生活の実践である生活期こそ最も重要な時期である.生活期のリハビリテーションでは狭義の医学的な機能・ADLの維持・向上を目指すだけではなく,生活の視点をもって一人ひとりの全体像と将来像を俯瞰しながら,環境や家族,他の医療・福祉職に対してもかかわることが必要であり,医療・介護間の連携が必須である.介護保険制度施行前の生活期リハビリテーションは,いわゆる外来リハビリテーションが中心であったが,2000年(平成12年)に施行された介護保険にて介護保険事業内に通所リハビリテーション,訪問リハビリテーションが位置づけられたことにより,OTの活躍の場は大きく広がった.しかし,これまで多くの療法士は病院を中心に配置されてきたため,機能訓練や自施設内での生活動作への介入経験はあるものの,生活現場での治療経験は少なく,他の介護・福祉職との連携,協働は十分に実施されていなかった.これに対して,2015年度(平成27年度)介護報酬改定では,医師,療法士,患者・家族のみならず介護・福祉事業者職員が参加するリハビリテーション会議にて目標を設定したうえで,リハビリテーションの着実な提供を促すためのリハビリテーションマネジメントの充実が図られ,さらに2018年度(平成30年度)介護報酬改定で強化された.
一方,医療保険から介護保険のリハビリテーションにシームレスに移行するためには,過不足なくタイムロスを生じない情報共有が重要となる.2006年度(平成18年度)に報酬化された「地域連携診療計画管理料」,「地域連携診療計画退院時指導料」により,全国的に【地域連携パス】が策定され,連携会議の開催等を通じて,急性期・回復期医療機関の顔のみえる関係とシームレスな医療構築(病病連携)には一定の効果を発揮した.しかし,医療から介護への連携については十分とはいえなかった.これに対して2016年度(平成28年度)改定では入退院時に医療機関と在宅支援を行う医療・介護職が連携した指導が報酬化され,2018年度改定では,報酬の対象となる職種がリハビリテーション専門職等にも拡大された.さらに,回復期リハビリテーション病棟退院患者については,疾患別リハビリテーションの標準的算定期間が3カ月延長され,医療保険から介護保険のリハビリテーションに移行されるまでのタイムラグが生じない体制が整えられた.本稿においては,現在の医療・介護間の連携強化に向けた医療・介護保険制度と問題点,千葉県での医療・介護連携について筆者の私見を加えて述べたい.
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