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はじめに
「スポーツ振興法」〔1961年(昭和36年)制定〕は,50年を経て,「スポーツ基本法」〔2011年(平成23年)8月施行〕に改定された.この間,スポーツを取り巻く環境,特に障害者のスポーツ環境は大きく変わってきた.スポーツ基本法では,障害者の自主的かつ積極的なスポーツを推進するとの基本理念が掲げられており,障害の有無を問わず広くスポーツに参画できるように障害者スポーツに関する事業が厚生労動省から文部科学省のスポーツ庁に移管された.これまでの障害者スポーツはリハの一環として行われてきたが,これからは,スポーツを生活の一部として取り組む「生涯スポーツ」の時代を迎える1).
スポーツ基本法に基づき,「スポーツ基本計画」が作成され,現在,第2期スポーツ基本計画(2017年4月〜2022年3月の5カ年計画)2)が実施されている.その中では成人障害者の週1回以上のスポーツ実施率を19.2%から40.0%へ引き上げる数値目標を掲げている.具体的な取り組みとして,特別支援学校を地域の障害者スポーツの拠点にすることや,学校における障害児のスポーツ環境を充実させること,障害者スポーツを総合的に振興する体制の整備,障害者スポーツ団体の組織体制の整備の支援等が行われている.また,障害者スポーツの直接観戦経験者を4.7%から20.0%へ増加させる数値目標も掲げており,国と地方公共団体が協力し,障害者スポーツ体験会を通した理解促進を図っている.
また,近年,障害者スポーツの名称も「障害者スポーツ」から「アダプテッド・スポーツ」3),そして「パラスポーツ」へと,名称だけでなくその意味合いも変化してきており,障害者スポーツの社会的見方も変化してきている.
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