学会長・学会運営審議会・学術集会長の言葉
第53回日本作業療法学会開催にあたって
東 登志夫
1
1長崎大学生命医科学域
pp.492-493
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201696
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日本にOTが誕生してから約半世紀を経て,OTの有資格者数は約9万人に達し,その間,OTの活動の場や職務の内容は大きく様変わりしました.日本作業療法士協会(以下,協会)はこのような状況に鑑み,昨年(2018年5月)に33年ぶりに「作業療法の定義」を改定しました.また,養成教育においては2020年4月から新しい指定規則が適用となります.さらに,医療全体においてエビデンスに基づく医療(evidence-based medicine)が強く推奨され,作業療法の分野においても,ますますエビデンスの重要性が問われるようになってきました.このように作業療法を取り巻く情勢は,今まさに転換期にきているといっても過言ではありません.
一方,私はこれまで,学術誌『作業療法』の編集委員や,学術委員会の委員として,長年協会業務にかかわってまいりました.その中で『作業療法』の投稿論文1)や,日本作業療法学会の演題抄録の分析2)等を通して,現状の作業療法研究においては事例報告の割合が高く,作業療法の効果を証明するエビデンスレベルの高い研究が少ないことを報告してきました.また,協会のキーワード集の分析や学術データベースの構築等を通して,作業療法のエビデンス構築に向けた基盤整備を急いで進めていく必要性を痛感致しました.
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