学会長の言葉
第56回日本作業療法学会開催にあたって
村田 和香
1
1群馬パース大学リハビリテーション学部
pp.990-991
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203104
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第56回日本作業療法学会は京都で開催ですが,加えてライブ配信(一部)およびオンデマンド配信の準備を進めています.学会テーマの持続可能性の領域は広範であり,自然環境や社会経済システムにかかわる多様な問題が複雑に絡み合っています.そのため,その実現には環境問題の解決という視点だけではなく,経済・社会問題も含めた相対的な問題解決のアプローチが必要となってきます.
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は,2015年9月の国連サミットで採択された,2016〜2030年までの国際目標であり,17の目標(Goals)で構成されています.この目標の達成に,OTがどのような役割を果たしているかを考えますと,「作業療法は始まりから持続可能な視点で目標を設定していた」という答えが出ます.たとえば,SDGsのGoal 3「すべての人に健康と幸福を」は,協会で謳っている作業療法の定義“作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である(2018)”の目的と同じです.私たちは,障害のある,なしにかかわらず,大切な作業に従事することがうまくいかないときに,本人の能力はもちろん,環境を含めて調整していきます.生きがいや生活・人生の質を高めること,教育や社会生活や,環境に働きかけているOTの日々の活動が,SDGs達成に大きな役割をもっているわけです.
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