学会長・議長・学術集会長の言葉
第52回日本作業療法学会開催にあたって
宮口 英樹
1
1広島大学学術院
pp.462-463
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201282
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一昨年,日本作業療法士協会は,設立50周年を迎えました.『日本作業療法士協会 五十年史』を見ると,第1回日本作業療法学会は,設立翌年の1967年(昭和42年)に東京で開催されたとありますが,演題数はわずか4題で参加者数の記録はありません.演題数が100を超えたのは第18回大会(米倉豊子大会長)の1984年(昭和59年),参加者数が1,000人を超えるようになったのは第24回大会(柴田澄江大会長)の1990年(平成2年)です.OTの有資格者数が増えるにしたがって,学会に参加する人数も順調に増え,それに伴い発表演題数も増加してきたといえるでしょう.
しかしながら,近年はこのような右肩上がりの構造に変化が現れています.第47回大阪大会〜第51回東京大会まで,いずれも1,000題を超える演題数がありましたが,参加者数は,おおむね4,000〜5,000名で推移しています.このことは,研究発表するOTが一定数存在するようになったものの,有資格者数が増加しても作業療法学会に参加する人数が必ずしも増えているわけではないことを表しています.演題数が安定しているのは,大学や大学院で研究に触れる機会を有するOTが増えたこと,学位をもったOTが管理者となって研究成果を求める等,職場環境が影響しているのかもしれません.参加者数については,最近では,日本認知症ケア学会やリハビリテーション・ケア合同研究大会等,OTの多くが参加する学会も増えてきたため,人数が分散している影響も考えられます.日本作業療法学会は,今まで以上に作業療法学そのものを学術的に追求し,世の中に示す時代になってきたのではないでしょうか.
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