ひとをおもう・第10回
資源を活用する
齋藤 佑樹
1
1仙台青葉学院短期大学
pp.74
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201577
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今にも初雪が降りそうな12月の上旬.その日,11時を過ぎたころにマリさんがOT室に顔を出しました.20代で脳梗塞を呈し,左手に重度の運動麻痺が残存しているマリさんは,仕事をしながら幼い子どもを女手ひとつで育ててきました.今日は,“ある課題”を解決するために外来リハにやってきたのです.
その課題とは,寝室に石油ファンヒーターを運ぶことでした.マリさんは,毎晩子どもが寝る時間になると,居間のファンヒーターを寝室に運び,部屋を温めていました.しかし片手でヒーターを持つことはできないため,畳と廊下,部屋の敷居をゆっくりと引きずりながら運んでいたそうです.マリさんは片手でヒーターを運ぶことに不安を感じていました.また,畳や廊下は傷だらけになり,引きずる際の音もうるさいため,何とか解決したいとOT室にやってきたのでした.
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