特集 退院後ケア
退院後ケアと社会資源の活用
堀越 由紀子
1
1北里大学病院総合相談部
pp.1096-1100
発行日 1998年12月1日
Published Date 1998/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902569
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社会資源とは,人が社会生活上の基本的なニーズを充足し,よりよく暮らし,よりよく生きるあるいは死ぬために,活用することのできるものすべてをいう.すなわち,人,モノ,お金,制度やサービス,機関,情報など何であれ,人が自分の生活をよりよくするために活かせるものはすべて社会資源である.これらを患者・家族が用いて生活をよりよいものにしていくのを助ける過程が社会資源の活用ということになる.そして退院後ケアのための社会資源の活用は,退院計画プログラムの一部ととらえることができる.
1984年に米国病院協会で策定された「退院計画ガイドライン」では,退院計画プログラムを「患者とその家族が退院後の適切なケアの計画を作るのを助けるために病院が提供するべき,部門を越えた病院全体としての(援助の)プロセスである」と定義し,その目的は良質な患者ケアの継続性を保障すること,入院が必要な他の患者にとっての病院資源の利用可能性を保障すること,および退院後の社会資源の適切な利用を保障することであるとしている.患者の入院医療のニードが終了したとき,患者や家族が病院内のケアからセルフケアあるはその他の社会資源によるケアへとタイムリーかつ健全に適応できるように,病院はその責任において患者や家族を支援しなければならないのである.
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