特集 少産時代に対応する「働き方改革」と医療施設
一般産科施設での対応
ICTの活用と遠隔診療支援
平田 善康
1,2
HIRATA Yoshiyasu
1,2
1平田クリニック
2日本産婦人科医会常務理事
pp.177-185
発行日 2023年2月10日
Published Date 2023/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000777
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はじめに
医師の「働き方改革」が施行される2024年4月まで,わずか1年あまり。各医療機関での取り組みは大幅に遅れている。医師偏在対策と地域医療構想が進まないなか,医師の働き方改革による時間外労働の上限規制が適用されることで,地域周産期医療体制の崩壊を招く。これを防ぐためには,各医療機関が宿日直許可基準に対応するとともに,遠隔医療の導入による医療資源の効率的利用が必須となる。時間外労働時間の上限規制により,外勤医師による日当直が不可能となれば,派遣元の病院勤務医は外勤ができず,約500万円以上の減収になるとの調査結果もある。そうなれば,医師の外部流出が起こり,大学病院や周産期センターの存続も危ぶまれる。今後,医師の働き方改革を取りやめることは困難であり,この解決に向けて日本産婦人科医会では,「地域で安心して分娩できる医療施設の存続を目指す議員連盟」を設立し対応している。そして,現状では,テクノロジーでの構造改革なくして医師の働き方改革はない。
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