講座 作業療法士が知っておくべき栄養学・第1回【新連載】
作業療法士が知っておくべきリハビリテーション栄養
西岡 心大
1
Shinta Nishioka
1
1長崎リハビリテーション病院
pp.426-431
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201275
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Key Questions
Q1:リハビリテーション栄養の定義,対象者は何か?
Q2:リハビリテーション栄養ケアプロセスの定義,構成要素とは何か?
Q3:なぜリハビリテーション栄養においてもICFに基づく評価が重要なのか?
はじめに
リハ対象者,特に高齢者では,低栄養やサルコペニアが高頻度に見受けられ,生活機能を損なう要因となる.欧米における調査では,リハ病院・施設において50.5%に低栄養が認められるが,この割合は一般病院よりも高い1).本邦回復期リハ病棟においても43.5%に低栄養が生じている2).またサルコペニアは急性期病院入院患者の34.7%3),回復期リハ病棟入院患者の53.0%に認められる4).これら低栄養やサルコペニアは日常生活動作(activity of daily living: ADL)の低下や摂食嚥下障害と関連し2〜4),リハの阻害要因となる.このことは,リハ対象者において栄養状態の評価(栄養アセスメント)やサルコペニアの評価が不可欠であること,栄養状態やサルコペニアの有無を確認したうえでリハプログラムを立案する必要があることを示唆している.
低栄養やサルコペニアを併せもつ障害高齢者に対するアプローチとしてリハ栄養が注目されている5).リハ栄養を現場で実践するにあたっては,知識だけでなくマネジメントの考えが不可欠であり,質の高いリハ栄養を実践する体系的手法であるリハ栄養ケアプロセスを用いることが推奨されている.本稿では,OTが知っておくべきリハ栄養の定義とリハ栄養ケアプロセスについて概説する.
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