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Key Questions
Q1:なぜリハに際し,栄養評価が必要なのか?
Q2:栄養スクリーニング,栄養アセスメントとは何か?
Q3:栄養評価にはどんな方法を用いるべきか?
はじめに:なぜ栄養評価が必要なのか
さまざまな疾患において,栄養状態がその治療や予後に大きく影響を及ぼすことが示されてきている.栄養障害は,低栄養・過栄養とそのリスク状態,栄養素の不足・過剰状態を表現している1).栄養障害は,罹患率と死亡率の増加,機能とQOLの低下,入院の頻度と在院日数延長,医療費の増加に寄与しており2),患者にとっても医療者側にとっても不利益を引き起こす要因の一つである.
低栄養は,不十分な栄養摂取,急性および慢性の炎症等の影響による必要栄養量の増加,吸収や代謝障害によって生じる.低栄養は成因によって,飢餓関連低栄養,慢性疾患関連低栄養,急性疾患または外傷関連低栄養の3タイプに分類される2).低栄養の高齢者の割合は,病院(38.7%),施設(13.8%),地域(5.8%)よりもリハ施設(50.5%)のほうが多い3).そのような患者に適切な栄養管理を行わず積極的なリハを行っても,十分な効果が得られないどころか,逆効果になることもある.実際に,入院患者の80%はエネルギーやタンパク質摂取量が充足できておらず4),不適切な食事摂取を見逃していると低栄養やサルコペニアが助長される.
低栄養患者に対し栄養補給を行うことは除脂肪体重の減少を軽減もしくは改善させることにつながる.特に栄養障害を認める患者では,リハと栄養管理を併用するリハ栄養管理で,ADLやQOLの向上を期待できる.そのために,患者の栄養状態を判断し,現在の栄養状態や栄養管理に応じた適切な強度でのリハを実施する必要がある.つまり,栄養評価は管理栄養士だけでなく,OTを含めたセラピストもある程度行えることが望ましい.
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