Japanese
English
症例報告
早食いに対する食具の工夫—食事形態と介助方法に拒否を示した全失語重度認知症患者の1例
The artifice of eating utensil for quick feeding:a case of patient with total aphasia and severe dementia refusing food form and assistance method
田中 寛之
1
,
永田 優馬
1,2
,
石丸 大貴
1,2
,
西川 隆
2
Hiroyuki Tanaka
1
,
Yuma Nagata
1,2
,
Daiki Ishimaru
1,2
,
Takashi Nishikawa
2
1今井病院
2大阪府立大学大学院
キーワード:
早食い
,
認知症
,
食具
Keyword:
早食い
,
認知症
,
食具
pp.279-283
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201228
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Abstract:早食いが原因で食事形態が低下したことに著明な不快感を示し,食事介助に反発を示す全失語重度認知症患者の支援を経験した.患者は左中大脳動脈脳塞栓後の失語症の90代女性で,重度認知症を合併していた.患者の食事行為は,スプーンを使いながら性急にかき込むため,動作を制止する等の介助が必要であったが,興奮し介助を拒否した.食事形態をミキサー食形態に低下させるも,見た目に対し不快を示した.作業療法において,不快・早食いを改善するために9分割正方形弁当箱タイプの食器である「和味(なごみ)」を利用し,軟飯・きざみ食形態で提供する環境調整を実施した.結果として,咀嚼回数は平均81.8±14.8回から444.0±65.9回に,食事時間は平均510.0±96.6秒から946.0±120.8秒に,スプーンですくう回数は平均30.8±10.1回から110.4±11.2回と改善された.スプーンで一度にすくう量が少なく,片手で把持してかき込むこともできない「和味」の形状的な特徴により,早食いを改善できたと考えられた.
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