Japanese
English
特集 認知症の人に対する新時代の作業療法
重度認知症におけるQOL—作業療法士はQOLをどう捉え,どう介入するか
Quality of Life for sever dementia
田中 寛之
1
,
永田 優馬
1
Hiroyuki Tanaka
1
,
Yuma Nagata
1
1大阪公立大学大学院
pp.1342-1348
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203600
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:作業療法では重度認知症の何に着目すればよいか?
Q2:認知症の人のQOLはどのように捉えるか?
Q3:QOLに影響を与える要因は何で,どのように介入するか?
重度認知症とOTが着目する点
1.認知症の人を取り巻く環境
認知症は重症化すると“死に至る病”であると認識されている1).高齢化に伴い認知症の人はますます増加するが,2023年7月に米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)はアルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)の疾患修飾薬であるレカネマブを承認したことを発表した.日本では同9月25日に厚生労働省が正式に承認した.これは,近年の医学の大きな発展であるが,この薬が行き渡ることで認知症はリハの対象でなくなるのかというと,現時点ではそうではないだろう.対象はADによる軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI),または軽度認知症の人に限定されることや,費用も高額であることが予想され,幅広く普及するには課題が残る.多くの期待を寄せられているこの薬ではあるが,AD以外の認知症を呈す進行性の疾患も多々存在することからも,まだまだ認知症は増加し,その方々の多くが重度段階を経験することが予測できる.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.