増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第3章 疾患別 上肢・手の困難事例へのアプローチ—具体的介入例とポイント
12 成人脳性麻痺の上肢機能について
辻 善城
1
Yoshiki Tsuji
1
1大阪赤十字病院附属大手前整肢学園
pp.806-811
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201008
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はじめに
成人脳性麻痺の上肢機能について,あたり前の話であるが,上肢機能だけをみてはいけない.その先にあるその人の生活をみていかなければならない.脳性麻痺は治らない疾患でもあり,脳性麻痺の方は生まれながらにして障害のある身体と向き合って人生を歩んでおられるため,「障害受容」できるか否かが,その人らしい生活を送れるかの重要な鍵となってくる.そのうえ,成人脳性麻痺の方には,二次障害や早まる老化と向き合いながら「機能低下受容(二次障害・老化受容)」という課題が挙がってくる.
上肢機能も含め,できていたことができなくなること(上肢機能の低下は即,活動・参加の制限につながる)に対して,どういった支援ができるかがポイントになってくる.
今回,肢体不自由児施設でOTを続けて30年経過した経験知1)から,成人の方でも上肢機能が向上した事例,現上肢機能を活かし環境調整で生活を支援した事例,上肢機能の代償動作と環境調整で生活を支援した事例の3つの報告を通して,上肢機能にかかわる生活支援としてまとめさせていただいた.
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