Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:ロボットテクノロジーを活用する意義は?
Q2:ロボットテクノロジーの活用の視点と注意点は?
Q3:ロボットテクノロジー活用するための作業療法の課題は?
はじめに
人は,生活の中でさまざまな作業を行っている.作業療法の起源は,作業が心身の健康の回復のために手段として使用された記録をたどれば,紀元前の中国や古代ギリシアに遡ることができる1,2).古代ギリシアの西洋医学の祖ヒポクラテス(BC460-BC375)やガレノス(129-200)は,作業と病気・健康との関連性に気づき,病気を治す方法として作業を推奨した3).「作業療法の父」とも呼ばれるウィリアム・ラッシュ・ダントン(William Rush Dunton, 1868-1966)が,作業療法“occupational therapy”という言葉を用いておよそ100年あまり,「作業療法」とは,まだ若い言葉であり,歴史の浅い学問といっても過言ではない.しかし,作業療法は人の生活にとって必要な学問であり臨床技能である.ダントンらが述べているように,“人間”は作業をすることによって人間になる“作業的存在(occupational being)”であることは真理であると思う.
今,その作業療法において「ロボットテクノロジー」を活用し,効果的な治療や環境適応を試みる取り組みが行われていることはご存知であろうか.先に,医学界では医療ロボットとしてdaVinci Surgical System(Intuitive Surgical社)を代表とする手術支援ロボット等が導入され,世界中で使用されている.また,わが国では,厚生労働省が介護ロボット等導入支援特別事業4)を,経済産業省がロボット介護機器開発・導入促進事業5)を実施する等,医療介護分野でもロボットテクノロジーを臨床で応用する取り組みが推進されている.近い将来,作業療法においてこのロボットテクノロジーが,機能の回復,生活行為の獲得,環境の調整等を目的に応用されることが考えられる.
今回,作業療法においてロボットテクノロジーを活用する意義やその位置づけ,課題について述べたい.
Copyright © 2017, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.