徹底分析シリーズ マイトラクリップ—経皮的僧帽弁接合不全修復システムに麻酔科医はどうかかわるか
心不全治療とMitraClip—新たなテクノロジーの展望
林田 健太郎
1
Kentaro HAYASHIDA
1
1慶應義塾大学医学部 循環器内科
pp.504-507
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201668
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心不全患者数は社会の高齢化に伴い年々増加の一途を辿っている。心不全の原因疾患として,虚血性心疾患や高血圧,不整脈などとともに,弁膜症の比重が昨今増加していることは,読者も日々実感されているだろう。弁膜症は,大動脈弁,僧帽弁,三尖弁,肺動脈弁につき,それぞれ狭窄と逆流,その両方が生じ得る。
中でも特に重症の僧帽弁逆流mitral regurgitation(MR)は,無症候であってもその予後は悪く,薬物療法のみの生存率は低い。これまで外科手術が唯一の治療法であったが,高齢,低心機能,併存症などによる周術期リスクの上昇から,手術ができず保存的加療となっている症例も少なくない。このような外科手術が困難な症例に対し,経カテーテル的に治療しようという試みがなされてきた。方法としては,外科手術を模倣するものが多く,弁形成術,弁輪縫縮術,弁留置術などが試みられている。その中でも最も臨床的に普及しているのがMitraClip®である。これは,逆流している僧帽弁尖をクリップでつまむという治療であり,現在,欧米ではすでに標準治療として臨床応用されている。
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