Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
内容のポイント Q&A
Q1 自動車運転を中止した後の問題点は?
運転は貴重な外出手段であるため,運転を中止することで,対象者自身の身体的,精神的,社会的な問題が生じる可能性がある.身体的な影響としては,移動手段が徒歩や公共交通機関に依存することで身体的負荷が増す一方,外出機会の減少により身体活動量が低下することがある.精神的・社会的な影響としては,運転という役割の喪失により,うつ傾向や不安感が増加する可能性がある.また,友人や家族との交流が減少し,孤独感を感じるようになる等,多方面にわたる影響が指摘されている.
Q2 身体障害者,および精神障害者手帳や免許自主返納で受けられる助成サービスは?
身体障害者手帳をもつ方は,各市町村が定める自動車改造費補助金を受けられる場合がある.この補助金には等級による条件や所得制限があり,金額も自治体によって異なる.また,自動車税の減免・免除,福祉車両購入費用の非課税,高速道路料金の割引等のサービスを受けられる可能性があるため,詳細は各自治体の担当窓口で確認が必要である.免許自主返納者が受けられるサービスとしては,タクシーやバスの利用補助券(割引券)等がある.また,運転経歴証明書を提示することで,各自治体の協賛店において買い物時の割引や送料無料等の特典を受けられる場合がある.これらのサービスに関する担当窓口は,警察署や自治体の福祉課・政策課等が担っているため,サービス内容を含めて事前に確認することが望ましい.
Q3 移動支援の取り組みの実際は?
広義の意味での移動支援とは,自動車運転の継続と中止の双方を支援することであり,安全に運転を継続しながらも,将来的に運転を中止する可能性を考慮し,他の移動手段への移行時期をドライバー自身が主体的に判断できるよう支援することを目的とする.そのためには,運転の継続・中止に関する判断をドライバー本人だけでなく,家族や支援者も共に考え,共有することが求められる.この課題を解決するためには,ドライバーや家族が自身の運転能力を適切に認識する機会を設けることが重要である.また,正確な情報を提供し,支援者と共に状況を共有できる場を提供することで,より適切な移行支援が可能になると考える.
Q4 移動支援の課題は?
移動支援は,ドライバーが運転という役割から他の移動手段へと移行する過程を支援することにも位置づけられる.地域で開催される運転教室やその他のコミュニティに参加する対象者は,既に自ら行動を変える第一歩を踏み出しているといえる.しかし,こうした取り組みに参加していない人は,行動変容のきっかけをもたない場合が多い.特に,地域で移動に困っているが行動を起こせていない人や,自身の移動に関する課題に気づいていない人にどのようにアプローチするかが課題となっている.そのため,地域の取り組みへの参加を促すための広報活動や啓発的な活動を強化し,より多くの人々に支援を届けることが求められている.

Copyright© 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.