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はじめに
福祉用具とは「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう」と定義されている〔福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年五月六日法律第三十八号)最終改正:平成二六年六月一三日法律第六七号〕.その範囲としては,「福祉機器」,「補装具」,「日常生活用具」,「自助具」,「介助用補装具」,「機能回復訓練用機器」,「スポーツ・レクリエーション用具」等が挙げられ多岐にわたっている.そのため,必要な機器を公的な支援のもと利用するには制度的な規定が設けられている.高齢者については,介護保険法において「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって,要介護者等の日常生活の自立を助けるためのものをいう」1)と規定されており,障害者については,障害者総合支援法において以下の2つに区分されている.
①補装具費支給制度
「障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や,就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来,社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として,身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具」2)
②日常生活用具給付等事業
「障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により,福祉の増進に資することを目的とした事業」.市町村が行う地域生活支援事業のうち,必須事業の一つとして規定3).
一方,住宅改修は介護保険制度では,「市町村は,居宅要介護被保険者が,手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修(以下「住宅改修」という.)を行ったときは,当該居宅要介護被保険者に対し,居宅介護住宅改修費を支給する」1)とされており,障害者総合支援法では,日常生活用具給付事業の給付対象メニューとして整理されている3).
また,近年急速にイノベーションを遂げてきた介護ロボットは,国家戦略として位置づけられており,開発と普及に力点を置いて重点的に取り組まれている.
ここでは,高齢者を取り巻く福祉用具や住宅改修,介護ロボット等にかかわる制度環境がどのように変化しどのような変遷を遂げたかについて今後の課題も含め概説する.
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