あなたにとって作業療法とは何ですか?・第23回
あなたにとって作業療法とは何ですか?
林 正春
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1JA静岡厚生連 リハビリテーション中伊豆温泉病院 作業療法科
pp.1295
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200764
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人生の救世主
17歳のころ,自分の将来について悩んだ時期があった.時代はバブル期,コンピュータ関係の仕事が全盛期を迎えようとしていた.時代の流れに身を任せ,「コンピュータ関係の会社に勤めるサラリーマン」への道を歩む想定をしていた.そんなとき,資格情報誌で「作業療法士」を知り,体に電流が走った.それはそれまでの人生で経験してきた陸上・水泳・柔道・卓球等の運動,書道・ゲーム等の精神・知的活動,図工・プラモデル・料理等の物づくり,関西育ちゆえ吉本新喜劇や漫才で身に沁みついているお笑いで得た人を笑わせる知識とコミュニケーションテクニック等のすべてをそのまま対象者に役立てることができる.まさに「天職」と思える仕事に出会ったからである.「作業療法」に出会う前は自己表現が苦手で,なんの特徴も面白味もない人間だった.「作業療法」はそんな私を変革させ,潜在能力を引き出し,対象者との「出会いと絆」,「機能回復」「スプリントや自助具」「住環境整備」等のマネジメントで,このうえない喜びを感じさせてくれた.同時に私自身の「生きる意味や楽しみ」,「存在価値」も実感させてくれる.まさしく作業療法は私の「人生の救世主」である.今は救世主となった作業療法を武器に,対象者の潜在能力を引き出し,対象者にとっても「人生の救世主」と思ってもらえるよう日々取り組んでいる.
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