増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第1章 総論
11 申し送りの重要性—医療から地域へ
柴田 八衣子
1
Yaeko Shibata
1
1兵庫県立リハビリテーション中央病院
pp.783-789
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200647
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はじめに
生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)の目的は,急性期から生活期まで,切れ目のない支援を行うことにより,「対象者がしたい・する必要がある・することが期待されている」,さまざまな生活行為を,「できる」ようにすることである.
医療領域で働くわれわれが担当するほとんどの対象者は,退院という門出を迎え,私たちの手を離れ,次なる場所へと巣立っていく.対象者の生活は,医療領域で完結することはなく,退院後の地域での生活が始まるときこそが,本当のスタートラインであろう.そのため,これまで行ってきた医療領域での作業療法を真の意味で活かすために,これまでの介入を振り返り,今後の生活に向けた新たな目標や課題を,地域生活を支援する後任者に引き継ぐまでがわれわれが行わなければならない責務である.
申し送りは,退院前カンファレンス等で関連職種が直接会って口頭で行えることもあるが,多くの場合は紙面での申し送りを求められる.その内容は,専門用語や評価結果の羅列等,送り手の独り善がりであってはならない.後任者の職種や役割に応じて,受け手の求める内容を記載することが専門職として最低限の務めとなる.
本稿では,医療から地域への生活を見据えた介入を行い,それらを引き継ぐために作成された,MTDLPの「生活行為申し送り表」を用いて,申し送りの重要性について述べる.
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