増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第1章 総論
10 地域との連携—地域資源の理解
紅野 勉
1
Tsutomu Kohno
1
1池端病院
pp.777-782
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200646
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はじめに
国は団塊の世代が75歳を迎える2025年を目途に,重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう,①住まい,②医療,③介護,④介護予防,⑤生活支援の5つのサービスが一体的に提供されるように,日常生活圏域ごとに展開される地域包括ケアシステムの構築を目指しているところである.このシステムの実現には,保険者である市区町村や都道府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じてつくり上げていくことが必要であると示されている.
一方,作業療法はこれまでに医療や介護のチームの一つのパートとして,治療や訓練,生活適応に必要な助言等を通して,対象者と1対1で展開してきた.しかし,少子高齢時代が到来し,きたるべき2025年問題に向けて社会が期待する医療や介護,保健,福祉等を見据えた新たな作業療法の展開が必要となった.生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)は対象者が望む暮らしを獲得するための支援策を検討し,専門職(多職種)や地域の組織や人々の協力を得て,対象者自らが主体的に取り組む手順や方法を整理するためのツールである.それは機能障害が残存した状態であっても,より望ましいかたちで生活が送れるように,自助,互助,公助,共助といった社会のさまざまな資源を理解し,活用する視点が不可欠である.本稿ではMTDLPの実践に必要な地域資源について解説する.
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