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Key Questions
Q1:個別作業療法は統合失調症の認知機能を改善させるか?
Q2:認知機能の改善に有効な個別作業療法の実践方法とは?
Q3:認知機能の改善に有効な個別作業療法の工夫や留意点とは?
はじめに
認知機能障害は統合失調症の中核障害とされ1〜4),社会機能や転帰と強く関連している2〜6).統合失調症の認知機能障害は,治療やリハによって変化し,重要な治療対象とされている2〜7).こうした研究を背景に,統合失調症の認知機能障害に対するアプローチが注目されるようになり,さまざまな介入方法が開発されてきている8,9).
統合失調症の入院治療では,急性期症状を薬物療法と良質な休息によって安定化させるとともに,早期リハによって認知機能障害を改善させ,社会機能の向上と再発・再入院を予防することが重要である.回復早期からのリハとして,多くの患者に作業療法が実施されている.作業療法では,個々の回復状態や生活課題を考慮した個別支援(個別作業療法)が必要である.しかし,現行の診療報酬体系では,「1日当たりの取扱い患者数は,概ね25人を1単位として,1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位50人以内を標準とする」とされており,採算性が求められる民間病院では個別作業療法が実施しにくいという問題がある.この現行規程は,1974年(昭和49年)に長期入院患者に対する集団的処遇を想定し策定されたもので,短期入院患者への個別支援を必要とする現代医療・リハの実情にはそぐわない.診療報酬の改正が望まれるが,個別作業療法の有効性を検証した研究は少なく,臨床では従来の集団的処遇(集団作業療法)を基本に,必要に応じて部分的に個別作業療法が提供されることが多い.
本稿では,統合失調症の認知機能障害に対する個別作業療法の効果を検討したパイロット研究を,事例を交えて紹介し10,11),認知機能障害の改善を促す個別作業療法の工夫や留意点を検討した.
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