Japanese
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特集 精神障害領域の作業療法の展望
外来作業療法の役割—アルコール依存症の男性への事例報告を通して
The role of occupational therapy for the outpatient after hospitalization
山口 裕子
1
,
岡本 静子
2
,
大西 祐美
3
,
越智 千尋
3
,
濵田 基敬
4
Hiroko Yamaguchi
1
,
Shizuko Okamoto
2
,
Yumi Onishi
3
,
Chihiro Ochi
3
,
Motohiro Hamada
4
1有馬高原病院リハビリテーション部作業療法科
2有馬高原病院診療部
3有馬高原病院リハビリテーション部デイケア科
4有馬温泉病院
pp.25-31
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200454
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Key Questions
Q1:急性期化が進み,入院期間が短くなる中での外来作業療法の役割は?
Q2:入院から外来作業療法への移行をどうアシストするか?
Q3:外来作業療法とデイケアの機能分化をどう考えるか?
はじめに
現在精神科においては,退院後はデイケア(以下,DC),作業所,地域活動センターへという流れが先行し,本来あるべき外来作業療法の機能は十分活かされていないと感じる.
急性期化への加速は単科の精神科病院である有馬高原病院(以下,当院)も例外ではない.精神科急性期治療が2015年(平成27年)1月よりスーパー救急(精神科救急入院料)を取得し,早期退院促進は数字のうえでも急ピッチで進んでいる.
入院早期に人と人との関係性構築へ,地域移行へという流れに患者を導くことの大切さは疑いようもない.しかし,そのスピードの速さについていくだけの機能回復が精神的にも身体的にも間に合わないまま退院となるケースが,少なからずみられるようになってきている.在宅支援サービスにもうまく乗り切らないままの退院になり,その後は入院する前と同じような環境の中に再び置かれ,しばらくすると再入院という悪循環を防ぐために,早期に退院したケースの在宅生活をいかにテーラーメイドに支えるか.入院時からかかわっているOTが積極的に個人対応で外来作業療法を行うことが,在宅生活の維持,社会生活復帰への支援をより円滑に進めるうえで果たせる役割は大きいのではないだろうか.
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