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Key Questions
Q1:介護老人保健施設における活動と参加に焦点を当てた支援とは?
Q2:介護老人保健施設におけるOTの役割とは?
Q3:多職種協働のための視点とは?
はじめに
介護老人保健施設の役割として,①包括的ケアサービス施設,②リハビリテーション施設,③在宅復帰施設,④在宅生活支援施設,⑤地域に根ざした施設,の5つが示されている1).また地域包括ケア研究会「地域包括ケアシステム構築における今後の検討のための論点」では,「介護老人保健施設はリハビリテーションの職員を擁しており,機能的にも在宅復帰を担ってきたことから,その機能を地域包括ケアシステムにおいて活用し,在宅生活の継続や拡大を具体的に支援することが可能であろう」と述べられている2).
在宅生活の継続や拡大に向けた具体的な支援では,心身機能のみならず,活動や参加に対する支援が重要といわれているものの,介護老人保健施設におけるリハに関するプログラム内容の実情としては,基礎練習(関節可動域訓練,高次脳機能訓練等)や基本練習(起居移動練習,巧緻性や両手の協調の模擬作業等)の割合が多く,応用練習(生活場面でのADL,趣味的活動等)や適応練習(買い物等への生活拡大等)の支援が十分に行われていない3)という課題が挙げられている.
2008年(平成20年),日本作業療法士協会は,作業療法の見える化のツールとして,また個々の対象者にとって意味のある作業を実現するためのツールとして,生活行為向上マネジメント4)を開発した.これはOTの思考過程を整理したものであり,このマネジメントツールを活用することにより,心身機能に偏ることなく,生活行為に焦点を当てた応用的および社会適応プログラムをバランスよく組み合わせた支援計画を立てることができる.その介入効果に関しても介護老人保健施設の入所・通所利用者に対して,ADL・IADLやQOLの向上等の効果が報告されている5).
一方,介護報酬改定において,2012年度(平成24年度)には通所リハで個別リハビリテーション実施加算を算定するための必要条件となるリハビリテーションマネジメント加算を算定するうえで,通所開始時から1カ月以内の居宅訪問が義務化され,実際の生活場面における対象者の課題や強み等を評価することの重要性が示された.さらに「平成27年度介護報酬改定の概要(案):介護給付費分科会資料(平成27年2月6日)」には「活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの推進」が明記され,新たな報酬体系として,居宅等の実際の生活場面における具体的な指導の際に訪問と通所の組み合わせが可能な「生活行為向上リハビリテーション実施加算」が導入された.今後,ますます活動・参加に対する支援の強化が期待されている.
本論では,筆者が介護老人保健施設なとり(以下,当施設)においてOTの視点を活かしながらかかわってきた,活動と参加に焦点を当てた入所および通所サービスに関する具体的取り組みを紹介するとともに,介護老人保健施設やOTの役割について,私見を述べる.
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