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はじめに
2015年度(平成27年度)介護報酬改定では,高齢者ができるかぎり住み慣れた地域で尊厳をもって自分らしい生活を送ることができるよう,「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みの一つとして,活動と参加に焦点を当てたリハの推進が取り上げられた.その理由として,「平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)(11)生活期リハビリテーションに関する実態調査」1)より,訪問・通所リハともに心身機能に関するプログラムが多く,参加に向けたプログラムがほとんどないとする結果から,「第106回社会保障審議会介護給付費分科会資料」2)において,「高齢者に対する『心身機能』,『活動』,『参加』のそれぞれの要素にバランスよく働きかける効果的なリハビリテーションが徹底できていないことについて,どのように考えるか」という論点が取り上げられたことがある.
またその論点については,①多職種が連携してアセスメントに基づく個別サービス計画を立て,定期的な評価を行ってPDCAサイクルを回す等,エビデンスに基づいたリハに再編が必要である,②生活期のリハの目的は,日常生活の活動性を高め,生きがいづくりや社会参加を通じたまちづくりまで視野に入れたものにすることが必要と考える,③PTとOTの違いがわからない,④リハについては,どういうことが改善されたのか,プロセス,事業所体制,そしてどんな成果を出したのかを把握していく仕組みが重要である等,介護報酬改定に向けて,各委員から意見が出されたところである.
このような現状を踏まえながら,バランスのとれた効果的なリハを今後さらに推進するためには,地域における高齢者リハのあり方をあらためて検討する必要があるということから,各リハの団体や学識の委員から成る「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」を立ち上げ,計5回からなる検討を行い,報告書3)を取りまとめている.検討会では,報酬改定に向け,具体的意見や提案をいただき,日本作業療法士協会(以下,OT協会)からは,利用者が「やりたい」,「したい」と思っている生活行為に焦点を当てたマネジメントツール「生活行為向上マネジメント」(以下,MTDLP)の紹介をいただいた.
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