増刊号 認知症と作業療法
第3章 認知症の作業療法の今後
4 認知症の方が地域で生活するための生きがい支援
伊藤 篤史
1
Atsushi Ito
1
1ファミリーハウス「とんと」古譚
pp.774-779
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200292
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はじめに
親鸞聖人1)の教えの一つとして漢字4字で「平生業成(へいぜいごうじょう)」という言葉がある.「平生」とは死んだ後ではない,生きている現在ということであり,「業」とは,事業の業のことであり,言い換えると人生の目的ということになる.その親鸞聖人は,生きがいと人生の目的は違うとものと教えている.
また神谷2)は,「生きがい」には2通りあるとし,ひとつ目は「この子は私の生きがいです」等という場合のように,生きがいの源泉,対象となるものを指すときと,2つ目は生きがいを感じている精神状態を意味するときとしている.2つ目を「生きがい感」としており,ひとつ目を「生きがい」と区別しており,どちらも大切な観点である.
つまり「生きがい」とは,あくまでも人が人として生きるための手段や行動の源であり,認知症の方の生きがい支援または生きがい感支援を行うことは,活動や参加に視点を当てるOT業務の中心である.以下に筆者が現在行っている業務内容についてまとめる.
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