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日本からすばらしい認知症リハを発信していくこと
2015年(平成27年)1月27日に,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が制定されました.新オレンジプランは,「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」ことを,その理念としています.2012年(平成24年)には認知症の人は462万人,65歳以上の7人に1人でしたが,2025年には700万人,5人に1人が認知症という時代が来ることが予想されています.このような状況を受けて,従来のように,認知症の人は介護を受ける立場と考えていては,社会は成り立ちません.認知症の人が,認知症がありながらもよりよく生きていくために,できるだけ自助努力をするという発想に転換することが求められています.認知症の人も,自立した個人として自分の人生は自分で支えていく,特に病初期では,できるだけ自立を促すという発想です.アルツハイマー型認知症をはじめ,現段階では治癒できない型の認知症が大半です.認知症により失った機能の回復を目的とするのではなく,意欲を支え,残存している機能をより豊かに活用することにより社会生活を維持していくための援助を行う,認知症があってもよりよく生きていくという心の構えのできるように,認知症の人本人と家族の気持ちを支える,まさに,作業療法が培ってきたことが認知症の人が生きていくうえで求められているということができます.
新オレンジプランでは,「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくり」が一つの柱とされています(表).2014年(平成26年)11月5〜6日に,日本で認知症サミット後継イベントが開かれ,各国の共通認識としてDementia Friendly Societyの推進の重要性が確認されました.このDementia Friendly Societyの考えに基づいて,WHOおよびEUはAge Friendly Societyを提唱し,新オレンジプランではこれを受けて,「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくり」を挙げています.実は,この“Dementia Friendly”の考えは,推進役と認識されています英国ではなく,日本のオリジナルなのです.日本は,外来のものを尊重する気風がありますが,Dementia Friendlyの発想は,海外が学び,WHOも取り入れている素晴らしい発想であることに,誇りをもって然るべきと考えています.
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