増刊号 認知症と作業療法
第1章 認知症とは
11 —認知症の診断と治療⑦—進行性核上性麻痺(PSP)
岡原 一德
1
Kazunori Okahara
1
1けいめい記念病院脳神経外科・もの忘れ外来
pp.610-615
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200263
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)は中枢神経における進行性の神経変性疾患で,臨床的には核上性眼筋麻痺と特有のパーキンソン症候(詳細は後述)にて特徴づけられる.症状の特徴から,神経内科にて診断治療される場合が多いと考えられるが,進行すると認知症症状が出現し転倒が起こりやすいことから,物忘れ外来や整形外科への受診を契機に診断される場合も少なくない疾患である.最近では非アルツハイマー型認知症の一つとして認識されており,家族会も設立されている.確立された治療法はないが,医療費公費負担制度の対象疾患であり,早期の診断と非薬物療法を含めた適切な治療が,患者本人および家族の負担軽減につながると考えられる.まれな疾患と思われがちであるが,60歳以降加齢とともに有病率が高くなることから,その病態と臨床症状の概要を把握し非定型的なパーキンソン症状を呈する認知症として放置されることがないように心がける必要がある.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.