Japanese
English
研究と報告
進行性核上性麻痺—主として精神症状について
Progressive Supranuclear Palsy: on the psychiatric symptoms
天野 直二
1
,
柳下 三郎
2
Naoji Amano
1
,
Saburo Yagishita
2
1神奈川リハビリテーション病院精神神経科
2神奈川リハビリテーション病院病理
1The Division of Neuropsychiatry, The Kanagawa Rehabilitation Center
2The Division of Pathology, The Kanagawa Rehabilitation Center
キーワード:
Progressive supranuclear palsy
,
Psychiatric symptoms
,
Subcortical dementia
,
Stuporous state
Keyword:
Progressive supranuclear palsy
,
Psychiatric symptoms
,
Subcortical dementia
,
Stuporous state
pp.1095-1104
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903130
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【抄録】 進行性核上性麻痺は,錐体外路系の症状を主とし,垂直性眼球運動障害や頸部ジストニアを呈する神経変性疾患である。また,多彩な精神症状,すなわち幻覚,妄想,感情障害,せん妄,昏迷様状態,さらに皮質下性痴呆を呈するのも特徴である。今回,6剖検例,2臨床例でその精神症状を主眼にして症例報告した。神経症状の出現以前に幻覚妄想状態を呈した症例が2例あり,せん妄を呈した症例は5例みられた。また,いずれの症例にも痴呆と言える病像がみられたが,今まであまり注目されていない挿間性の昏迷様状態が高い頻度でみられ,カタレプシーを呈する症例もみられた。これらの症状の発現には,Albertらが指摘したように脳幹,視床などの器質的な病変による機能障害が起因していると考えられた。進行性核上性麻痺は皮質下性痴呆だけでなく,その経過中に多彩な精神症状をみる可能性の高い疾患である点を強調した。
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