Japanese
English
特集 大脳基底核疾患—最近の知見
「純粋無動」と進行性核上性麻痺について
"Pure Akinesia"and Progressive Supranuclear Palsy
水澤 英洋
1
Hidehiro Mizusawa
1
1筑波大学臨床医学系神経内科
1Department of Neurology, Institute of Clinical Medicine, University of Tukuba
キーワード:
pure akinesia
,
progressive supranuclear palsy
,
frozen gait
,
postural reflex
,
pallidonigroluysian atrophy
Keyword:
pure akinesia
,
progressive supranuclear palsy
,
frozen gait
,
postural reflex
,
pallidonigroluysian atrophy
pp.113-118
発行日 1993年2月1日
Published Date 1993/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900439
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I.はじめに
無動(akinesia,アキネジア)は,いうまでもなくパーキンソン病の重要な症状であり,振戦,固縮(rigid—ity),姿勢反射障害とならんでパーキンソニズムの4主徴を構成している。CruchetやWilsonが用いて以来さまざまな定義が試みられているが,その意味するところは今日でさえ明瞭とはいい難い1)。その理由の1つは,無動が振戦や固縮のように1つの要素的な症状ではなく,臨床的に一連のさまざまな症状・徴候を意味していることにある。すなわち,現在のところ無動とは,1)動作の緩慢,2)動作の開始遅延,3)動作の量の減少,4)すくみ足,5)小刻み歩行,6)突進現象,7)腕の懸垂性減少,8)手の回内回外変換運動の障害,9)仮面様顔貌,10)瞬目減少,11)小書症,12)単調で小さな会話,13)寝返りがうてない,などの諸症状を含んだ概念として理解されている。また,無動は文字どおりには「動かないこと」であり,厳密には動きが乏しいこと(寡動hypokinesia)や動きが遅いこと(動作緩徐bradykinesia)とは異るが,臨床的にはこれらは区別しないで使用されている。
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