Japanese
English
講座 神経変性疾患3
進行性核上性麻痺
Progressive supranuclear palsy.
山中 泉
1
,
今井 壽正
1
Izumi Yamanaka
1
,
Hisamasa Imai
1
1日本私立学校共済・復興事業団東京臨海病院神経内科
1Department of Neurology, Tokyo Rinkai Hospital
キーワード:
進行性核上性麻痺
,
臨床症状
,
診断基準
Keyword:
進行性核上性麻痺
,
臨床症状
,
診断基準
pp.243-248
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100814
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はじめに
進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy;PSP)は,1964年,SteeleとOlszewski,Richardsonにより臨床9例(うち剖検7例)が報告され確立された疾患概念であり1),その後さらに,臨床,病理,神経生理,神経放射線,神経心理等の検討が加えられてきた.核上性眼球運動麻痺を来すことから進行性核上性麻痺と命名されたが,臨床症状は多彩であり,病理学的には多系統が侵される疾患である.PSPの診断に適するような生物学的マーカはなく,確定診断には神経病理学的検査が未だに“gold standard”とされている2).臨床の場では特徴的な症状が出揃うまでの期間が長いため,特に初期には鑑別診断が困難なことも多く,診断に数年の期間が必要な場合があり,剖検で診断が異なることもしばしばみられる.このためPSPは,パーキンソン症候群のなかでパーキンソン病についで最も頻度の高い疾患とされているにもかかわらず,その実数はかなり少なく,罹患率は見かけ上低く見積もられている可能性がある.このため,臨床の場においては良い診断基準が望まれる.
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