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特集 司法精神医学の今日的課題
外国における触法精神障害者の強制入院制度—ドイツにおける触法精神障害者の強制入院制度を中心にして
Commitment System to a Psychiatric Hospital in Germany
加藤 久雄
1
Hisao KATOH
1
1慶應義塾大学法学部医事刑法
1Division of Criminal Law, Faculty of Law, Keio University
キーワード:
Criminal responsibility
,
Psychopath
,
Personality disorder
,
Convention
,
Commitment to a psychiatric hospital
,
Social therapeutic treatment
,
Preventive custody
,
Education=system of forensic psychiatry
Keyword:
Criminal responsibility
,
Psychopath
,
Personality disorder
,
Convention
,
Commitment to a psychiatric hospital
,
Social therapeutic treatment
,
Preventive custody
,
Education=system of forensic psychiatry
pp.627-636
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902658
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問題の所在—フランス・モデルは破綻したか
本年3月27日,パリ西部の郊外都市ナンテール(Nanterre・人口87,000人)の市議会会議場に乱入した精神障害者(33歳,独身,無職,母親と2人暮らし)がピストルを乱射し,8人(うち女子4人)の議員を射殺し,20人以上に重軽傷を負わせたと報じられた。同日,シラク大統領とジョスパン首相は,直ちに声明を出し,「凶悪触法患者対策の見直し」を命じた。フランスのいわゆる「治療処分」制度は,制度的には,行政処分であり,メディカル・モデルであり,触法問題を精神医療の現場にすべて押し付けるやり方は,わが国の政府案が参考にした「長所」でもあった(注1)。
しかし,この事件で,やはり,凶悪で危険な触法患者対策は,きれいごとではすまされないことが明らかになったのではないのか。フランスのモデルの破綻を政府案の提案者は国民にどう説明するのであろうか。フランスの司法精神医学の専門家によれば,最重度の危険性を持つ人格障害犯罪者は,保安病院から最重警備の刑務所へ次々と移されているという(注2)。
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