増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
4 —基本動作の支援④更衣動作—皮膚反応を主軸とした介入
廣渡 一隆
1
Kazutaka Hirowatari
1
1リハビリセンターReborn
pp.812-815
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202612
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服を着るということ
人類が衣類を身に着けるようになったのは,寒暖や有形無形の害から身体を防ぐ保護のため,慎みや羞恥により身体を覆い隠すため,地位や属性を表示したり,注目を引いたりするため等,諸説述べられている.何をどう着るのかにより,リラックスしたり,意気込んだり等,精神面への影響もあることも経験されているかと思う.
また,“衣類の張りが,皮膚面と同様に運動の情報となっており,身体に取り込まれ,まさに「衣類は第二の皮膚」として,機能している”1)といわれており,たとえば,伸縮性の異なる素材の衣類を着た状態でしゃがむ動作を行ったときには,ズボンのずれや張りがそれぞれ違った感覚情報を与え,動作の感覚として得たり,ズボンの張りを支えに利用したりする.衣類は動作や活動において有意義な情報を提供するものであるといえる.こういった衣類との関係性を,脳卒中の方は保たれているだろうか.本稿では,脳卒中の方の更衣がどのように遂行され,どのような困難性があり,それにどう対応していくのかについて述べたいと思う.
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