Japanese
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特集 がんの痛みと作業療法
人生の最終段階のケアと死生学
End-of-life care:from the thanatological point of view
清水 哲郎
1
Tetsuro Shimizu
1
1東京大学 大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター上廣講座
pp.303-308
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100457
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Key Questions
Q1:人生の最終段階のケアとは?
Q2:死生学とは?
Q3:「人生の最期に至るプロセスはノーマル」とは?
「人生の最終段階のケアに参加して,人の死に直面してもバーンアウトしないですむような知識が死生学という学問にはあるのではないか」ということで,筆者に原稿依頼があった.残念ながら,そのように役に立つといえる知識の持ち合わせはない.とはいえ,1960年代の終わりから1970年代初めのころに「死生学」(thanatology)という名で呼ばれるようになった学問領域は,死に直面している本人とその家族へのケアのあり方を考えるものであった.その領域においては,「死に近づいている本人に,そのことを知らせるべきか」といった問いから,「死に直面している本人および遺族の心理的状況に対する薬剤」といったことまで扱い,また「親は幼い子どもであっても葬儀に連れて行くべきだ」といった言論もなされるような,領域であったようだ.そうであれば,「バーンアウトしないですむ」かどうかはともかく,自らもケアに参加していた患者の死に直面した際に,それをどう受け止めるかについて,体系的ではないが,いくつかのことを提示しておくことは,死生学をやっていると称する者として,しないではすまされないことであろう.
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