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Key Questions
Q1:東日本大震災による陸前高田の被災状況とは?
Q2:陸前高田の高齢者支援の現状とは?
Q3:陸前高田の復興に向け,OTができることとは?
はじめに
岩手県陸前高田市は,東日本大震災における津波被害で最も甚大な被害を受け,震災を語る象徴的な地域の一つとなった.未曾有の大津波によって,市の平地部分の建物,家屋,商業施設等は跡形もなくほぼ壊滅し,街の様相は震災前とはまったく異なるものになった.震災から2年半が経過し,旧高田松原海岸に1本だけ形を残した「奇跡の一本松」(図1)と称される大樹が復元され,市民にとって復興へ向けた勇気のシンボルとなる一方で,震災被害による住宅問題,インフラの整備,企業の再建,仕事を求める若者や子育て世代の人口流出等,大きな課題も多く抱えている.
OTが従事する医療・介護の領域においては,震災の人的被害による高齢者の減少や家族構成を含むソーシャルサポートの変化,仮設住宅への居住を余儀なくされたことによるコミュニティと生活様式の変容,サービス提供側の事業所・従事者の被災等,根底となる問題は多岐にわたっている.しかし,この地域は震災が発生するずっと以前から,過疎化や高齢者率の増加等,地方特有の課題が慢性的に生じていた.医療・介護に携わる事業所・従事者の数も決して充足していたわけではなく,従事者はさまざまな工夫をしながら,従来から地域を支え続けてきた.そして震災後,この地域の復興に向け,どのように地域を再生し,OTがそのために何ができるか,現実問題として直面している.
本稿は,自身や家族が被災をしつつも高齢者を支援するOTとして,また地域リハビリテーション広域支援センターの一員としての役割を担って被災地で活躍する清水陽平氏へのインタビューと当地域の周辺調査を基に,陸前高田市出身である筆者が,被災地域の現状を綴り,今現在陸前高田の保健医療福祉の分野で行われている取り組みを報告するものである.
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