講座 研究論文の読み方・第4回
質的研究論文の読み方
港 美雪
1
Miyuki Minato
1
1愛知医療学院短期大学
pp.1267-1272
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100300
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Key Questions
1.質的研究によって明らかにする知識の特徴とは?
2.作業療法における質的研究の必要性とは?
3.質的研究論文を実践につなげるには?
はじめに
OTは,現場の課題に向き合う中で,日々どのような解決策を試みているのだろうか.課題解決に近づく方法にはいくつかの選択肢があると思うが,その一つが,質的研究論文を読み,その知識を実践に組み入れる方法である.しかし,論文の読み方について,ある程度の知識がなければ,当然,この方法は選択肢からは消えてしまう.たとえば,「普遍性は?」,「人数は?」と,そのエビデンスとしての科学性に疑問を感じてしまえば,質的研究論文を積極的に読むことを止めてしまうのではないだろうか.また,論文を読んではいるが,その論文の解釈と実践へつなげる方法がわからないことによって,結果的に質的研究論文を読まなくなることもあると思われる.
そこで本稿では,OTが,現場の課題解決のために質的研究論文を組み入れることを可能にするために,質的研究が明らかにする知識の特徴と,作業療法とのつながり,質的研究論文を実践プロセスへ組み入れる方法等について取り上げたい.また,作業療法の目標である「クライエント中心の作業に基づく実践」に焦点を合わせ,その実践における課題解決に質的研究論文を活用した一例を筆者の経験から紹介する.
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