入門講座 論文投稿のすすめ➋
論文の読み方
内山 靖
1
,
吉尾 雅春
1
1本誌編集室
pp.951-957
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100598
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論文の読み方には,実際の論文をいかに読みこなすかという側面と,必要な論文をどのように検索して収集・選択するのかという側面とに大別できる.本稿では,前者を内山が,後者を吉尾が分担して執筆した.
論文の読みこなし方
1.よい論文とは
1)論文の価値基準
「なにか“よい論文”を紹介してください」と尋ねられることがある.
これは,答える側にとっては意外と難しい注文である.私にとってよい論文をみせることは即座に可能であり,○○について詳しく書いてある論文を見つけ出すこともそれほど難しくはない.ここで言う“よい論文”とは,相手が現在求めているなんらかの欲求を満たすものを指しており,相手のニーズに沿っていなければよい反応は得られない.例えば,その領域に精通している理学療法士にとってはよい論文であっても,学生や他領域の理学療法士には難解と感じるかもしれない.かつて同僚から「最近のよい英文論文を知らないか?」と尋ねられ,はりきっていくつかの原著論文を紹介したが,反応は今ひとつであった.関心領域を尋ね,さらに論文を提示したが,結局,3日後の勉強会に紹介するために,短い論文であることが絶対条件で,図表が多く,臨床的なトピックスが含まれていればなおよいということがわかった.笑い話のようにも思われるが,何事においても相手のニーズが重要である.
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