講座 研究論文の読み方・第1回【新連載】
研究論文を,なぜ,どのように読むのか
吉川 ひろみ
1
Hiromi Yoshikawa
1
1県立広島大学
pp.922-926
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100221
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Key Questions
1.あなたの研究論文に対する態度は?
2.研究論文とは何か?
3.研究論文をどのように読むのか?
研究論文に対する態度
エビデンスに基づいた実践(evidence-based practice:EBP)が必要だとされる文脈において,ほとんどの場合,エビデンスとは研究論文を指す.EBPを行うためには,論文を読む必要がある.しかし,論文をよく読んでいるOTは多くはないし,読んだとしても伝統的実践を継続している人も多い.論文に対する態度を分類してみた(図1).EBP実践者は,「入手可能な最新で最良なエビデンス」に基づいて実践するので,実践から生まれる疑問に答えるために論文を読み,自らの実践を変化させ続けるだろう.たとえば,well elderly study1)を読んでからは,OTが決めたプログラムにクライエントを参加させることを止め,クライエントの生活に深く関連する作業をクライエントが行うようなプログラムを行うだろう.
受身的学習者は,論文に書かれている知識の重要性を認め,理解しようと努力するが,自らの実践の中にどのように組み入れたらよいのかわからない.論文を読まない人や,読んでも理解しようと思わない人は,実践に必要な知識は本の中ではなく,実際の経験から見いだせると考えているようだ.よく研修会に行き,人脈をつくり,語り合いを好む人は,学習している気分になっているような気がする.受身的および気分的学習者は,大事なことや正しいことは,自分以外の外部にあると思っているので,批判的ではなく,従順で,権威者にとっては扱いやすい.
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