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特集 感覚統合理論・療法の今を考える—効果的な実践のために何が必要か
日本における感覚統合の歴史を振り返る
The history of Sensory Integration in Japan: A retrospective review
土田 玲子
1,2
Reiko Tsuchida
1,2
1日本感覚統合学会
2NPO法人なごみの杜
pp.464-469
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203792
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Key Questions
Q1:日本における「感覚統合理論」の広がりの特徴とは?
Q2:「感覚統合療法」と呼べる介入の特徴は何か?
Q3:「感覚統合理論」の進化・発展に必要なことは何か?
はじめに
A. Jean Ayres博士(1920-1988)によって体系化された感覚統合理論は,現在世界中の作業療法士の理論基盤の一つを担っている.私の作業療法士としての50年の人生を振り返ると,この理論との出会いが,その後の私のさまざまな臨床活動や教育活動,啓発活動等の動機づけや知的探究心,理論基盤の源になっていることにあらためて気づかされる.
近年日本の子どもたちが置かれている状況は,「不登校」や「引きこもり」,「教育上特別な支援を必要とする子どもたち」の増加等,多くの問題を抱えている.そしてこのような事態に対処すべく,作業療法士のみならず教師や保育士,児童指導員等,さまざまな職種の方々がこの理論に関心を寄せるようになっている.
このように,この理論は単に作業療法の理論としてのみでなく,広く一般の子育てや個性的な子どもたちの行動理解や支援の基本的な考え方にも寄与するものである.ただその分,この考え方をどのように伝え,日本の子どもたちの支援の実践や発展に役立てていくか,用語の使用や概念,実践の混乱を含め,課題も大きくなっている.
今回,日本感覚統合学会の,主として講習会活動の歴史を振り返りながら,今後の展望を述べてみたい.
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