内視鏡外科手術に必要な解剖と術野の展開・9
子宮およびその付属器
安藤 正明
1
,
奥村 みどり
1
,
浅桐 和男
1
,
吉田 孝
1
,
西内 敏文
1
,
吉岡 保
1
,
武田 佳彦
1
,
伊熊 健一郎
2
1倉敷成人病センター産婦人科
2宝塚市立病院産婦人科
pp.276-282
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900327
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はじめに
腹腔鏡下手術における手術視野は,1つのポート(通常は臍部)を視点とするため制限がある.また,内視鏡には死角が存在するため,標的臓器の側面や裏側を完全に把握することは困難である.さらに,立体視ができないためdepth perceptionが不可能となり,鉗子操作の位置・方向などにも誤認が起こりやすく,臓器損傷を引き起こすリスクが常にある.これはモノポーラー電気メスなどのpower sourceを用いる際に,特に注意を要する.ほかにも操作鉗子の到達方向,可動範囲の限定や術野の確保の困難性なども内視鏡下手術を困難にする一因である.
したがって,腹腔鏡下手術では1つの視点からみた術野において,その視野にある解剖学的構築物の位置関係をいかに捉え,また把握するかが重要なポイントとなる.手術操作の及ぶanatomical structureを頭のなかで立体的に構築し,鉗子の力や電気メスの熱が及ぶ範囲を推定しながら手術を進めていくことが大切な基本となる.本稿では,われわれの行っている子宮全摘出術の際の骨盤解剖所見と,後腹膜リンパ節郭清の際の後腹膜アプローチ法を中心に紹介する.
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