今月の主題 腹部エコー法の現況—癌診断を中心に
臨床診断
子宮・付属器腫瘍
小林 充尚
1
Mitsunao KOBAYASHI
1
1防衛医科大学校・分娩部
pp.1180-1183
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217247
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検査の手順およびポイント
①膀胱の適度の充満は絶対に必要である.一般に患者はかなり排尿したくて不快になっているくらいがよいようである.不十分な膀胱充満は誤診の元凶であり,厳につつしむべきである.とくに電子スキャン法の場合にはコンタクト・コンパウンド・スキャン法の場合より充満していることが望ましい.
②緊急検査の場合には,250〜300mlの滅菌水などをカテーテルにより膀胱内に注入する.
③患者は検査台上に仰臥する.
④ついで,腹部を恥骨部より剣状突起の下部まで露出させ,検査液で汚さぬように患者衣服を布やタオルでまわりをカバーする.
⑤超音波診断用ゼリーを十分に腹部に塗る.検査中も必要によりゼリーを追加して,探触子と腹部との十分な接触を保つようにする.
⑥まず探触子を正中線に沿って置き(電子スキャン法)または走らせ(コンパウンド法),膀胱充満が適度かどうかを確かめ.同時に子宮のおよそのアウトラインを把握する.このとき必ずしも子宮は正中線にあるとは限らないのに留意する.
⑦膀胱充満が適度と判断すれば,本格的検査を開始する.
⑧横断スキャンを恥骨直上で行い,子宮の確認と左右への偏位度をたしかめ,ついで子宮左右にある可能性の付属器腫瘍をチェックする.横断スキャンが縦断スキャンのガイドとなる.
⑨ついで横断スキャンの所見を頭に入れながら,縦断スキャン.横断スキャンと行い記録する.
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